AIファースト・マニファクチャリング 製造業の新たな戦略構想

強いAIが製造業の未来を創造する

日本の製造業は多くの課題に直面しています。
横河デジタルはこうした状況に対し
「AIファースト・マニュファクチャリング」というコンセプトを提唱します。
これは事業拡大のクリティカルパスから人の介在を減らし、
AIによる永続的な学習蓄積による価値向上により
製造業の事業拡大に貢献する試みです。
AIによる自律的なマニュファクチャリングチェーンを確立することで、
「AIファースト・マニュファクチャリング」は、
日本の製造業を新たなフェーズへ導く可能性を秘めています。

Concept

AIファースト企業とは

「AIファースト」はGoogleがモバイルファーストの次に提唱したAIを競争の源泉とする戦略です。
現在、海外ではAIをより戦略的に活用して指数関数的な事業拡大や価値向上を狙う「AIファースト」を目指す企業が増えています。
外資系小売企業等はビジネスのクリティカルパスから人の介在を減らし、事業における圧倒的なスケール拡大・スコープ拡張・学習蓄積を目指しています。

1 従来型の企業と
AIファースト企業の違い

2 AIファースト企業が獲得するもの

About AI  First Manufucturing

製造業に求められる強いAI

海外のAIファースト企業は豊富なデータを扱えるB2Cビジネスのケースが多く、様々な業務領域に特化した「特化型AI」を個別に活用しています。しかし、B2Cに比べるとデータが少ないB2Bの製造業は、「特化型AI」で対応しようとすると相当な数のAI導入が必要になってしまいます。製造業では少ないデータ・少ない試行で学習し、様々な課題に汎用的に対応できる「強いAI」が求められます。

YOKOGAWAは数少ない試行によって目標を達成可能とする強化学習技術・AIアルゴリズム「FKDPP」を、汎用性の高い「強いAI」を目指して奈良先端科学技術大学院大学と共同開発しました。FKDPPは数少ないデータと強化学習により、少ない試行回数で目標に最適な操作量を自律的に生成することができます。
YOKOGAWAではFKDPPを様々な製造業務に応用し、蒸留塔への応用では世界初のAIによる自律制御として、2023年3月に「第52回日本産業技術大賞」の最高位「内閣総理大臣賞」を受賞し内外から高く評価されました。 大量のデータを必要とせず、人のように学び判断することができる「強いAI」を活用することで、製造業のAIファースト・マニュファクチャリングの実現が可能となります。

AIファースト・マニュファクチャリングにおけるAI導入の全体像

従来は各セクションで人が行っていたプロセスを強いAIに置き換えることで、成果に結びつく自律的かつ迅速な意思決定が可能になります。

AIファースト・マニュファクチャリングの最終形は、各プロセスに配置された強いAIが、製造・製造管理工程に導入された特化型AIからのデータを統合し、分析します。また、ERPおよび本社の様々なシステム等と強いAIで連携させることで、「利益を最大化させる」といった目標に対して予算、製造品目、生産量、スケジュールなどを自律的に判断。最善のプランが経営層に提案されます。

AIファースト・ マニュファクチャリング 実現へのプログラム

AIファースト・マニュファクチャリングを推進するためにはAI技術だけではなく、①事業プロセス②データ・AI③人・組織の3つのプログラムを用いて推進していきます。
横河デジタルは、全プロセスのサポートはもちろんお客様のAI導入の進捗状況に合わせて必要な個別要素に限ったご支援も可能です。

導入分野の例

汎用型AI及び特化型AIを含め、目的に合わせた
最適なAI導入を図ります。

  • 0 1 .

    モノづくり現場のDX化

    ITとOTのシステムをつなぎ「モノづくりの見える化」と「全体最適な意思決定支援」の仕組みを構築。暗黙知をデジタル化し、様々な情報を組織横断で活用する。

  • 0 2 .

    セキュリティの強化

    製造業に不可欠なシステムの完全性をリアルタイムで監視し保護、集中管理サービスでグローバルネットワークにより増大するサイバー攻撃のリスクに備える。

  • 03 .

    カーボンフットプリントへの対応

    CO2排出の削減目標に向け、排出量の計算に必要な1次データを収集し、カーボンマネージメントシステムと連携して算出・レポートを発行。

YOKOGAWAの
「産業用の汎用型AI」活用イメージ

横河デジタルではAIファースト・マニュファクチャリングの実現に向けて、すでに様々なジャンルにおいてAI実装の検証を進めています。

  • 蒸留塔 省エネ制御

    廃熱を用いた加熱器をAIで制御。従来の手動制御に比べ、約40%の蒸気、CO2の排出量を削減。

  • 多段水槽 水位制御

    マニュアル制御するのはとても困難と言われる、制御トレーニング実験装置「多段水槽」の水位制御をわずか30回の試行で達成。

  • 反応炉 高速化

    化学反応プロセスにおいて、生成物の濃度・混合物レベルの制御目標を達成するAI制御モデルを作成。

  • 半導体工場 省エネ空調制御

    AIによる水冷バルブ制御により、空調に占めるエネルギーの3.6%減少を実現。

  • ビール醸造 高速化

    長時間にわたり温度調節を必要とする発酵工程において、従来よりも短時間で発酵させる温度調節のパターンを発見。

  • 購買量 最適化

    受注予測と在庫データ・欠品データ等から、購買発注量をコントロールして、製品在庫量の最適化を実現。

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