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DX FrontLine1旭化成が推進するパワーユーザーの育成プログラム

 私たちが主に行う業務は、社内のデータ分析とそのデータ分析を行う人材育成です。
 データ分析の専門家である我々データサイエンティスト、現場エンジニアのパワーユーザー、現場を知り尽くした原理原則アドバイザー。この三位一体で行う教育プログラムとして、勉強しながら実課題に取り組み、改善した成果を発表会で共有し、さらに次へと活かす仕組みとしています。
中島 特に注力しているのは、パワーユーザーの育成です。奥と私はデータサイエンティストとして指導する立場で参加していますが、パワーユーザーには各部署から自発的に参加している社員が大勢います。
 パワーユーザー育成は、2019年に立ち上げた育成プログラムのひとつです。最初は製造生産技術系のエンジニアを対象にスタートしました。パワーユーザーの定義は、社内の各現場でデータ分析を牽引できる人としています。つまりカリキュラムを卒業して終わりではありません。その後も各部署で牽引役として活躍し続けて頂きます。このための新たなバッジ認定制度も導入しました。
 今では製造生産技術系だけでなく、品質保証や物流、営業、知財など、幅広い部署の社員がスキルアップのために参加しています。

知識と経験の宝庫は
新しい世界と繋がる

中島 以前はエクセルを使って、データの集計分析・散布図・相関図を見ていました。
 しかし多変量解析の世界はそう簡単ではありません。そこで育成プログラムでは統計解析ツールを用いて相関構造から重要そうな変数を絞り込み、さらにベテランの有識者ともディスカッションを行い、なぜこの関係になっているのか? などを紐解いています。
 データを紐解く流れに実課題を使用して解析し、実際の現場で改善アクションまで行い、結果や成果へと導いていきます。こうした実践で身につけた分析力は、本人たちのレベルアップと、さらなる自信にもなっていると感じています。
 そして、紐解く過程で原理原則アドバイザーというベテランの視点を入れていく点が特長的なプログラムです。
中島 ベテランの有識者の方々は、今までの経験値が豊富です。過去に体験された知恵や知識と、私たちの解析するデータを比べて頂き、様々な原理原則の側面から一緒に課題を解決していくのは素晴らしい体験です。この三位一体という座組が、何より肝になっていますね。
 単に参加した人だけで勝手に頑張って、というのではなく、各専門家と一緒に進めていく。これが私たちの取り組み方です。そして各部署のパワーユーザーが部署内へと働きかけ、私たちも手伝いながらパワーユーザーの上司までも巻き込みます。
 立ち上げた当初は、当然否定的な意見もありました。しかし、1年目、2年目で具体的に皆が知らないデータや情報が表れ、分析事例が増えていく。実課題での事例を目の当たりにできた結果、全体に理解を広められたと思います。
中島 ベテランスタッフの方も分析情報とご自身の経験を見比べて、新たな発見をしたり、やっぱりこれで合っていたなど、新たな経験をして楽しむ姿も見られるのも、とても嬉しいです。
 今後は、他企業との人材育成の連携や学生の底上げなどを通し、旭化成だからこそできる、日本全体に役立つ製造業の分析モデルの先駆者として進み続けていきたいと考えています。